博物館ブログ

Museum Blog

山形市立第七小学校5年生の皆さんの作品群をご覧ください!

 当館は、霞城公園と呼ばれる国指定史跡山形城跡の中に設置されています。霞城公園は四方を山形城二の丸の堀によって囲まれており、当館へ来館される場合は、東西南北にそれぞれある門を通っていただくことになります。ご注意いただきたいのは、車(自転車を除く)が通行できるのは北門のみです。

 その北門から200メートルも満たない北側に、山形市立第七小学校(以下、「山七小」)があります。当館の「ご近所さん」であり、山七小にとって当館は学区内にある施設になります。
 山七小の第5学年では、今年度の総合的な学習の時間について、「ぼくらみつばち学芸員~大好きな博物館の魅力を広めよう~」をテーマとされました。年間を通して来館され、博物館の活動や展示収蔵の資料、学芸員の仕事などについて調べたりしながら理解を深め、さらに学芸員の技能を身につけ、冬の時期には「一日学芸員」として実践できるよう取り組む内容です。併せて、当館の魅力などについて情報発信していただけるようです。
 児童の皆さんは、来館のたびに新たな興味、気づきを示してくれ、次々と疑問が沸き起こって職員へ積極的に質問するなど、熱心に取り組んでくれています。山七小が学校全体で育む資質・能力は、「問題発見、解決能力」「言語能力」「情報活用能力」「協調性」が重点ということですので、それを踏まえながら当館も一助となるよう努めていきたいと思います。

 ところで、現在、JR山形駅から東口大通り沿いに歌懸稲荷神社の境内にかけて、山形花笠まつりや夏休みなどで観光客が多くなる時期に合わせ、子どもたちや企業などの願いごとや歓迎の言葉、絵などを描いたちょうちんが飾られています。山七小第5学年児童の皆さんは、何と!当館の紹介文やイラストなどを描き、さっそくPRしてくれています。本当にありがとうございます。観光客と思われる人たちが立ち止まって観ていたり、写真を撮っていたりと、絶大なPR効果を発揮しています。お気に入りの展示資料のイラストや、クイズ形式にした解説など、児童の皆さんが工夫をこらした作品群で、JR山形駅の自由通路やペデストリアンデッキを中心に設置してあります。ぜひご覧ください。

受付のつぶやき

みなさんこんにちは!
日差しがだいぶキツイ季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
七月も終わりに差し掛かり、夏の熱気も猛威を振るっていますね。
さて、そんな暑い夏始めのHotなニュースです!!!
7月8日に小百合第二保育園さんをお迎えして、
今年度の来館者数が一万人を突破いたしました!!!!

小百合第二保育園さんには認定証と記念品を贈呈させていただき、ご見学を楽しんでいただきました。
近年は新型コロナウィルスの影響で一万人突破は秋口だったのですが、約三年ぶりに夏の時期の突破になります。

ご来館くださった皆様誠にありがとうございました!!

山形県立博物館の夏はまだまだこれからです!
大盛況で応募を締め切らせていただきましたナイトミュージアムや自然学習会の他にも、解説会や講演会がございます。
来館者数一万人達成を新たなスタート地点として、
これからもご来館される皆様に楽しんでいただけますよう、様々な企画、展示を行って参ります。
これからも、どうぞよろしくお願い致します!

(※感染拡大防止の観点により、受付でのご案内や企画内容等が変わる可能性がございます。ご来館の際は当館HPをご参照いただけますと幸いです。ご理解、ご協力を賜りますようお願いを申し上げます。)

古文書講座入門編(前期)が終了しました

 博物館では毎年、当館で所蔵している史料を使って、古文書を読む講座を開いております。初めて古文書を読む方やゆっくり読み進めたい方に向けて、一文字ずつ丁寧に解説する「入門編」を、前期と後期に分けて各3回実施しています。
 7月13日(水)、入門編(前期)の第3回目が開催されました。昨年度に引き続き、山形の有名な武将、最上義光について書かれた軍記物『義光物語』を取り上げて読みました。『義光物語』は17世紀にまとめられた書物で、「くずし字」という文字で書かれています。一文字ずつ今の漢字と照らし合わせながら、まるでパズルを解くよう解読していきました。講座に参加された方々からは、くずし字を読む活動がとても楽しかったなど感想を寄せていただきました。
 入門編(前期)は今回で終了となります。これから入門編(後期)の開催を予定しており、7月末ごろから募集を開始します。詳しくは近日ホームページ上でお知らせしますので、興味を持っていただけましたらぜひご参加ください。

博物館講座②開催報告

 博物館では、館長や当館職員、大学の先生などを講師としてお招きし、それぞれの専門分野について、分かりやすく紹介していただく「博物館講座」を年6回実施しております。

 7月9日(土)は東北芸術工科大学の田口洋美教授を講師にお招きして、第2回博物館講座を開催しました。
講座の題材は「森を使い分ける:羽越マタギの思考と形」。田口先生が長年フィールドワークをされてきたご経験から、旧三面集落の里山に暮らした人びとが自然とどのように共存し、また長い年月をかけて人々が森を育てていったのかということを「撫育」という言葉をキーワードにお話しいただきました。マタギの男性は左足から靴を履くなど、自らマタギの方々と関わって初めて知ることのできることなど、リアルな体験に基づいた話と、語りかけるようなお話しに引き込まれ、とても楽しく、学びの深い時間を過ごさせていただきました。

 次回の博物館講座③は9月17日(土)に、東北芸術工科大学の松田俊介講師をお招きして開催します。演題や申し込みフォームなど、詳しくはまもなくホームページ上でお知らせしますので、こちらもぜひご参加ください。

博物館の消防訓練

 先日、消防訓練がありました。今回は展示室から出火という想定で、初期消火や来館者の皆さんを安全に誘導するための訓練を行いました。当日はその際にご来館されていた一般の方3名にもご参加いただきました。急な呼びかけにもかかわらず、快くご協力いただき、本当にありがとうございました!
避難後は屋外で水消火器を使った消火器操作訓練を行いました。火災発見時、最も大事なのが火事ぶれ。「火事だ~!」と大きな声で叫んで周りの人に知らせてから消火です。忘れちゃいけないのが退路確認!火を消すことも大事ですが、自分の逃げ道を確保しておくことはもっと大事です。皆さんも万が一火事に遭遇した際には、まず自分の命を守ってくださいね。

「火事だ~!」の火事ぶれ
消火器での消火訓練

 現在でも火災は大変な災害ですが、今よりも耐火や消火の技術が発達していない昔の人たちにとっては本当に恐ろしく、厄介なものだったことでしょう。人の力ではどうにもならないことは、時に神様にお祈りしました。
 山形県立博物館には「牛札」が展示してあります。出羽三山は臥牛山とも呼ばれ、牛は湯殿山の使者と考えられていたそうです。江戸時代の大火の際に、羽黒の牛神が風向きを変えて庄内藩江戸屋敷を救ったという伝説から、牛札をかまど等に貼り、火災予防を祈願したそうです。

「牛札」

 実は県博には展示ケースにある牛札の他に“かくれ牛札”があります。お近くまでお越しの際はぜひ、県立博物館にお立ち寄りいただき、“かくれ牛札”を探してみてください♪

そもそもマムロガワクジラとは?

 今月4日より、特別展「発掘30周年・マムロガワクジラ、新生代の海を泳ぐ ~やまがた北部の古生物~」が始まりました。おかげさまで、多くの方々からご来館いただいています。

 今回は、「そもそも、マムロガワクジラとは何か?」についてです。
 「マムロガワ」は、山形県北部に位置する真室川町のことです。山間部の道路の法面で大きな骨の一部が見つかり、1992年より1994年にかけて、当館が約600万年前の大型の鯨化石を多数発掘しました。マムロガワクジラという鯨の種類がある訳ではなく、このとき発掘した化石群の総称として、「マムロガワクジラ」と呼んでいます。

 鯨は、大きく「歯鯨」と「ヒゲ鯨」の2グループに分けられます。発掘したマムロガワクジラはヒゲ鯨が多く、ナガスクジラやセミクジラなどが識別されました。歯鯨のマッコウクジラも識別でき、多種類の鯨が生息していたようです。当時の新庄盆地一帯の海は、鯨が住みやすい環境だったのでしょう。大型の個体が多く発掘されたのも特徴的です。

 発掘されたマムロガワクジラの個体数は、まだ確定できていません。さまざまな部位があり、そして不完全な骨格も多いためです。最小で9個体、最大で45個体の集合体で、おそらく数十個体の鯨になると思われます。これほど多数の鯨の個体数が集中して発掘された例は、国内ではほとんどありません。とても貴重な記録を公開しています。

 7月2日(土)の13時30分から14時までの時間帯で、当館学芸員による解説会を開催します。実際の発掘にも携わっており、当時のエピソードを交えて解説します。ホームページからの事前申し込みとなりますので、該当ページをご確認ください。

頸椎(けいつい)の化石です

国宝土偶「縄文の女神」展示解説会を実施いたしました

令和4年6月19日(日)
 今年度初の国宝土偶「縄文の女神」展示解説会を実施いたしました。限られた時間での解説会でしたが、熱心に耳を傾けてくださいました。本当に感謝申し上げます。次回は8月14日(日)です。当館ホームページからの事前申込制になりますが、是非お早めにお申し込み下さい。

博物館講座①を開催しました

 博物館では、館長や当館職員、大学の先生などを講師としてお招きし、それぞれの専門分野について、分かりやすく紹介していただく「博物館講座」を年6回実施しております。
 6月11日(土)東北大学の荒武賢一朗教授を講師にお招きして、博物館講座が開かれました。
講座の題材は「近世における尾花沢・柴崎家の商業と社会貢献」でした。荒武先生の御専門は日本近世・近代の経済史ということで、尾花沢の有力商人柴崎家のことをお話しいただきました。
江戸時代の中頃から、紅花商人として大きく成長した柴崎家は、京都や江戸に分家や支店を持つ有力な商人として栄えました。ただ金儲けをするだけでなく、村山地方で飢饉が起こった時には、代官所と連携しながら民衆に食料を援助することもありました。
 柴崎家は、その財力を元に多くの大名への貸し付けも行いました。今回の講座では、米沢藩との貸し借りを取り上げ、商人と大名とのやりとりを、実際の古文書の記述をもとにユーモラスにお話ししていただきました。滞在日数や服装、やりとりの様子などが古文書に残されることはほとんどなく、県立博物館にとても貴重な資料が残されていることを知ることができました。地元の歴史を、当時の文書から知ることができ、大変興味深い講座でした。

 次回の博物館講座②は7月11日(土)に、東北芸術工科大学の田口洋美教授を講師として開催します。詳しくは近日ホームページ上でお知らせしますので、こちらもぜひご参加ください。

附属自然学習園での「大人の遠足」

 県立博物館には、附属施設として自然学習園があり、自然学習の場を提供しています。山辺町畑谷の「県民の森」にある琵琶沼を中心に開設しています。

 この一帯は、クリ、ミズナラ、アカマツなどの林に覆われ、琵琶沼にはホロムイソウ、ヒメカイウといった氷河期からの生き残りと言われる植物があり、動物では両生類のクロサンショウウオ、モリアオガエルや、昆虫類のなかではアオイトトンボ、ハッチョウトンボなど20種類以上を産するなど、貴重な生態となっています。このように自然のままの姿が残され、貴重な動植物が分布している湿原であることから、昭和53年(1978年)に県の天然記念物に指定されました。

 また琵琶沼を含む周辺は、白鷹山の山麓の海抜約600メートルに位置し、畑谷大沼をはじめ荒沼、曲沼など数十か所の湖沼群があります。山形県立博物館『平成6年度 琵琶沼緊急調査報告書 -地学・動物-』(1995年)によれば、もともと白鷹山の主峰は、現在よりも北に中心があり、今より標高が高い火山であったと考えられています。しかし山体崩壊が発生し、さらに地すべりなども起きながら、現在の地形が形成されていったようです。西黒森山、白鷹山、高森山からなる稜線は、カルデラの地形を示しており、琵琶沼からは西~南側になります。

 このような環境のもと、自然学習園は、動植物や地形など自然系における豊かな学習を提供する施設です。今年度も、6月25日に「大人の遠足 夏山歩 琵琶沼自然観察会」を企画しました。申し込み締め切りは、6月11日(土)です(ただし定員になり次第終了します)。詳しくは、該当のページをご参照ください。

特別展が始まりました!

 6月4日(土)から特別展「発掘30周年、マムロガワクジラ、新生代の海を泳ぐ~やま
がた北部の古生物~」が開展しました。
 マムロガワクジラの全化石を中心に、第三展示室内はクジラやイルカ、鰭脚類や貝類な
どの化石で埋め尽くされており、非常に見ごたえのある展示となっております!

展示会場の中央

  マムロガワクジラの化石はもちろん、その他にも貴重な展示物がたくさんあります。
 今回はその中からいくつか紹介したいと思います。

 まずはキタトックリクジラの骨格標本(国立科学博物館より借用)

キタトックリクジラ(国立科学博物館蔵)

  不思議な形ですよね。国内にはほとんど標本が存在しないとの事です。他のクジラ化
 石と見比べてもらうと明らかに形が違うことが分かります!

  次にミズホクジラ化石(岩手県立博物館より借用)

ミズホクジラ化石(岩手県立博物館蔵)

  非常にきれいにクリーニングされた化石で、古代のクジラの骨格がはっきりと分かる
 資料です。こちらも必見!

  最後にこちら

  いかがでしょう。この資料は何か分かりますでしょうか。

  正解は…

  イッカクの角(牙)でした!こちらも国立科学博物館からお借りいたしました。
 当初はレプリカを展示予定でしたが、科博さんのご厚意で本物を展示しております!
 
  他にもまだまだ紹介したい資料がたくさんあるのですが、あまり紹介しすぎると見に
来ていただく楽しみが無くなってしまうのでこの辺で…

 今年度の特別展は8月28日(日)まで開展しております。化石に興味のある方は
ぜひとも博物館へ足をお運びください♪