当館では、6月から最上川をテーマとした特別展「海に入るまで濁らざりけり-『母なる川』最上川-」を開催しています。最上川に関わる文学や川絵図、流域に暮らした人々の生活の様子などを知ってもらえるよう、様々な資料を展示しています。
6月22日(土)、東北文教大学から菊地和博特任教授をお招きして記念講演会が開催されました。
演題は「最上川舟運で行き交うものと文化・くらし-民俗学の観点から」。菊地先生は以前、当館学芸員として勤務され、平成4年には山形の民俗文化を紹介する特別展「やまがたと最上川-上方文化との交流-」をご担当されました。菊地先生がお持ちの最上川流域の民俗文化についての見識をお話しいただく機会とさせていただきました。
講演会では、最上川の舟運のあゆみや上方から伝播して定着した祭礼文化、青苧(あおそ)や紅花といった北前船によって上方にもたらされた特産品の話など、山形の民俗文化や産業に関して講演いただきました。また、朝日町出身の柴田謙吾(しばたけんご)氏の業績についてご紹介いただきました。柴田氏はその生涯をかけて最上川流域の文化を熱心に研究され、古文書や文献に記されない船頭や筏(いかだ)乗りを取材し、彼らが持つ深い知識や知恵を記録し紹介しました。船頭の仕事に関係する資料を数多く収集し寄贈されるなど、県立博物館とも深いつながりのある方です。
参加者からは「最上川の歴史・文化について再認識ができて大変参考になりました」「村山市に住んでいるためとても身近に感じました」「柴田謙吾氏の人生訓、業績に感動しました」など多くの感想が寄せられました。
特別展は8月18日(日)まで開催しています。柴田氏が10年の歳月をかけて制作した40mの川絵図「最上川絵図」の複製も展示していますのでぜひご覧ください。次回の講演会は7月27日(土)、放送大学茨城学習センターの小野寺淳所長(茨城大学名誉教授)をお招きし「最上川舟運と河川絵図の特色」についてお話しいただきます。ぜひご参加ください。