10月9日は何の日でしょうか? 縄文文化の魅力を広める活動をしている任意団体の「土偶の日運営委員会」(現 縄文ドキドキ会)が、10月9日を「土偶の日」という記念日にしようと提唱しました。語呂合わせで、土(10)偶(9)と読めるからのようです。
さて、当館が所蔵する土偶と言えば、真っ先に「縄文の女神」を思い浮かべると思います。ところで、県立博物館には、縄文の女神が何体設置されているでしょうか?
もちろん本物は一体ですが、館内には多彩なレプリカなどを常設し、ふだんから縄文の女神をより身近に感じたり、触って形を把握したりできるよう工夫しています。いくつかご紹介しましょう。
まず正面玄関では、木製の「縄文の女神」が皆さんを出迎えます。これは分館である教育資料館にあったモミの木から作られました。立ち枯れの状態になり、倒木の危険があったため、上山市の株式会社三共造園に伐採していただいたのですが、代表取締役の井上睦夫さんの考案で制作していただいたものです。全長は2メートル60センチメートルで、重さは約600キログラムもあります。
次からは館内に設置している女神たちです。白い「縄文の女神」は、東根市の神町電子株式会社が、自社の3Dプリンターで制作してくれました。アクリル系樹脂製のモデルです。実物大ですが、重さは実物より約1キログラム軽く、制作には65時間かかったそうです。現在、触れる状態にして展示しています。同じスタイルを触って実感することができます。
次の光る「縄文の女神」は、村山産業高校の生徒さんが、校内のレーザー加工機を使って裁断し、組み合わせて作ってくれたものです。鏡面状のアクリル板材によって近未来的な姿を見せています。附属のケースの上下からは、フルカラーに点滅する県産有機ELに照らされ、幻想的な空間を醸し出します。写真以外のカラーも表現されています。
青銅製の「縄文の女神」もあります。金属ならではの重厚感が、写真でも分かりますでしょうか。
これらの女神たちは、博物館のどこかに設置しています。来館の際は、ぜひ探してみてください。
最後に紹介するのは、新庄神室産業高校の生徒さんが3Dプリンターで制作してくれたものです。ふだんは館長室に設置し、来客の方などをお迎えしていますが、イベントなどでも活用しています。
現在開催しているプライム企画展『女神たちの饗宴 ―「縄文の女神」国宝指定10周年―』では、「縄文の女神」を含む全国で5点のみの国宝土偶(複製)と、県内外の縄文時代前期から晩期までの多彩な土偶を集めました。考古学の学術価値はもとより、縄文人が制作した美術作品と位置付けても極めて高い評価ができる土偶の魅力や美しさ、奥深さも感じていただけるような展示を心がけました。ご来館をお待ちしています。