8月28日をもって、特別展「発掘30周年・マムロガワクジラ、新生代の海を泳ぐ ~やまがた北部の古生物~」を無事に終えることができました。行動制限がない夏休みもあり、県内外から多数のご来館をいただきました。おかげさまで、コロナ禍以前に迫る来館者数となりました。また、新聞やテレビなど報道関係各社からは、期間を通して興味深くマムロガワクジラを取り上げていただきました。誠にありがとうございました。
さて、今回の特別展では、発掘地である真室川町当局と早々に連携・協働して、「新しいこと」や「新しいもの」をつくり出すことができました。
例えば、一つ目は新しい学びで、マムロガワクジラを素材とした地域学習です。真室川町立小中学校において、担当学芸員が出向いた出張授業や、当館への見学と解説を行い、マムロガワクジラを題材に、地域をより深く理解する学習を展開することができました。内陸である真室川町から、たくさんの海棲生物の化石が発見される意外性から始まり、クジラの進化や盆地の成り立ちなどを興味津々に学んでくれました。さらに、この学びを踏まえ、児童生徒によるマムロガワクジラ絵画展という連携事業を実施することができました。
二つ目は新しい町資源の創造であり、マムロガワクジラを活用した地域活性化の取り組みです。一例として、真室川町を含む最上地方には、「くじら(くぢら)餅」という古くから伝わる郷土菓子があります。真室川町が町内の菓子店と協力して、「マムロガワクジラのくぢら餅」を製作しました。マムロガワクジラとくじら餅を掛け合わせた新商品です。さっそく8月3日と28日、当館において新田隆治町長から来館者へプレゼントするイベントが行われました。県外からの来館者は、真室川町とくじら餅を初めて知った方も多く、マムロガワクジラを関連付けながら覚えていただく機会となりました。町のPRにも一役買うことができました。他にも、真室川町からは発掘地点に案内掲示を設置していただいています。
当館が掲げる博物館の役割の一つに、「新しい価値を創造する施設」があります。特別展の共催であった真室川町とは、「連携」「協働」を深めながら円滑に取り組みことができました。さらに一歩進めて、新たな価値を「共創」することができたと自己評価しているところです。
さて、次の企画展示会は、10月1日~12月11日を開期としたプライム企画展になります。その準備のため、現在、第3展示室は閉鎖となっています。9月30日までは、第一、第二展示室のみの開館となりますので、ご了解くださるようよろしくお願いします。
※ くじら(くぢら)餅については、以下に説明がありますので、ご参照ください。
https://www.pref.yamagata.jp/020026/kensei/joho/koho/mailmag/pride/kujiramoti.html