ごあいさつ
当館は昭和46年(1971年)4月に開館し、本年をもって53年目を迎えます。東北地方では最も早く設立された県立博物館であり、現在は本館と分館(教育資料館)、自然学習園に分かれ、地学・植物・動物・考古・歴史・民俗・教育の7部門を擁する総合博物館です。
本館は、山形市のほぼ中央に位置する国指定史跡山形城跡「霞城公園」内にあり、代表する展示は、ヤマガタダイカイギュウ化石と土偶「縄文の女神」(国宝)です。
ヤマガタダイカイギュウ化石は、昭和53年(1978年)に県内の小学生2人によって発見され、当館で発掘した化石です。カイギュウ類のうち、この種では世界に一つしかない標本で、カイギュウ類の進化の解明に大きな影響を与えました。また、土偶「縄文の女神」は、国内の土偶の中で最も大きく、学術的に貴重であるとして平成24年(2012年)国宝に指定されました。海外における展示会でも公開され、縄文人が創作した土偶の造形美は、国内外において多くの人々を魅了しています。
このほか、県内の植物のほとんどを網羅する「*結城嘉美氏植物標本コレクション」や山形県の「母なる川」最上川の舟運に関する資料など、多くの貴重な資料を備えています。
分館(教育資料館)は山形市緑町にあり、明治34年(1901年)建築の旧山形師範学校本館を利用しています。ルネサンス様式を基調とした建物は、国の重要文化財に指定されており、内部には本県の教育のあゆみを展示しています。
自然学習園は、東村山郡山辺町畑谷の「県民の森」の中にあり、琵琶沼を中心に開設しています。自然のままの湿原の姿が残され、貴重な昆虫や植物が分布しており、県指定の天然記念物になっています。
私たちの目指す博物館像は「創り、分かち合い、伝える博物館」です。
数十万点に及ぶ貴重な収集資料には、本県の自然・歴史・文化の魅力がぎっしり詰まっており、多くの方々に分かりやすく楽しくお伝えし、新たな価値を創造していくことが本館の役割と自負しています。
今年度は、6月から特別展「海に入るまで濁らざりけり -「母なる川」最上川-」を、また、9月末からプライム企画展「東北の自然史大図鑑 -The Great Natural History of Tohoku-」を計画しており、身近にありながら普段あまり気づかない郷土の魅力について、博物館の視点で見直した素晴らしをお伝えしたいと思います。ほかにもその分野の専門家による様々な講演や講座、国宝の展示説明会、ナイトミュージアムなど、社会教育や学校教育にも寄り添った企画を数多く行う予定です。
ぜひ、何度でも気軽に当館へ足をお運びください。職員一同、皆様のお越しを心よりお待ちしております。
*結城嘉美氏は山形県立博物館初代館長です。
令和6年4月
館 長 齋藤 祐一